レーザー墨出器を活用、バランスゲージ従来の2点間距離の測定に加え、損傷部位の沈み込み、浮き上がり、左右の振りなどが数値で確認できます。

 


三脚等に固定したレーザー墨出器を、車両前方3~5m程度離れた車両中心線付近に仮置きし、レーザー照射します。

 



 

レーザー横軸合わせ

セットした車両の水平が出ている場合は、レーザー墨出器を「自動水平補正モード」でセットしてください。水平で無い場合は「固定モード」に設定、車両の損傷がない左右対称ポイントにて水平を取ってください(右図参照)。

 

 



レーザー縦軸合わせ

車両の中心点2か所以上のポイントを使い、レーザー縦軸を合わせます。フロント周りの損傷では、エンブレム等は使用できませんので、ダッシュボード前の車体中心点、また新たな中心点をフロントガラス上、ルーフ上に設定※し、ポールを立て、レーザー照射して中心線を確定してください。

※バランスゲージによる中心線の設定方法【解説】

バランスゲージによる中心点の出し方【動画】


 バランスゲージ付属品「マグネットキャップ13㎜/14㎜」、又は各種マグネットを使用し、測定必要個所にできるだけ”垂直に”立ててください。

 

バランスゲージに付属されている「メモリ付きマスキングテープ」等を使い、フロント先端部の車体中心にゼロ点を置くようにテープを貼り付けます。


※「マグネットキャップ13㎜/14㎜」を使用することで、メモリの数値がマグネット接地面からの高さ表記となります。

車体中心から左右の振り

先ず、フロント部分の中心線がどのくらい左右に振っているかを確認します。

メモリ付きマスキングテープなどを貼っておくことで、左右の振りを数値で確認することができます。写真では約3.8㎜ほど左に振っていることが分かります。

 



左右の高さ差異

左右高さは、比較対照により損傷度合いを計測します。測定個所は、事故状況の聞き取りによる入力予測や、目視での損傷診断により決定してください。

 

写真では、右サイドは約19㎜のメモリにあることを確認。

 



左サイドは約4㎜にあり、これにより右サイドより約15㎜左サイドが沈み込んでいることが分かります。

 

左右比較対照なので、あくまで目安ではありますが、入力に応じた適切な修正作業を行うことで、左右高さと中心線が整っていくはずです。

 



これらのデータに加え、「バランスゲージ」による対角・長さ・幅などの2点間距離測定を行います。

 

このような総合的な診断は、入庫受け入れ時の見積根拠(資料)として、またエビデンスとしての作業記録に有効、且つ修正作業時の変化が明確にわかることで、引き加減や引き方向の正否がリアルタイムに把握できるのです。


三脚等に固定したレーザー墨出器を、車両前方2~4m程度離れた車両中心線付近に仮置きし、レーザー照射します。

 

アンダーボディー高さのみ計測するときは、車体中心線を厳密に合わせる必要はありませんが、車体中心線付近に設置し、レーザー照射を開始します。

 



車両自体が完全な水平状態にセットされていればレーザー墨出器の「自動水平モード」により準備は完了しますが、大半の作業場では水平にセットできる環境は限られます。

その場合、例えばフロントサイドの事故損傷であれば、事故損傷の影響を受けていない車両後部の計測点で水平を導きだします。

車体寸法図等のデータを参照し、後部の最適な計測点4か所にポールを設置します。



併せて、事前に損傷で影響を受けているであろう必要なポイントにメジャーポールを設置します。

 

マグネットはバランスゲージの付属品として多種ありますので、各ポイントに適したマグネットを選択します。ポールは極力垂直にセットしてください。



計測点には、ボルトや金具等を外さないと接地面に直接設置できない場合があり、基本は分解しての設置ですが、取り外さない場合でもアイデア次第で仮想の接地面を作ることができます。

 

写真では計測結果より50㎜差し引いて高さを導きます。



車体の水平を取るために設置した後方4本のポールにフォーカスします。車体寸法図等のデータより、予め位置のアルファベットと高さを付箋しておくと手間が省けます。

 

また、その高さ位置のメモリに矢印の付箋を貼っておくことで、ある程度遠くからも視認することができ、レーザー線の微調整を行う作業が楽になります。



レーザー線の調整は「レベリングベース(市販品)」というカメラ用の雲台を利用すると微妙な調整も比較的楽に行えます。



4本のターゲットのメモリにしっかりと合わせれば車体の水平が取れただけでなく、レーザー照射面がイコール車体寸法図の「仮想基準面」となります。

 

Point:

基準となる4本のポールは、車体のダメージが及んでいない計測点で、できる限り前後の距離を離すことで、より正確に仮想基準面を捉えることができます。



仮想基準面が出たので、損傷個所の高さ計測作業に入ります。

 

予め設置しておいた損傷確認の必要な個所のメモリをチェックしていきます。



あまりにもデータの数値と乖離が見られる場合は、水平の基準に取ったポールの取り付け位置等に間違いがあるかもしれません。確認するとともに、別の計測点で改めて仮想基準面を取り直してみてください。

 

バランスゲージやトラッキングゲージ等で、必要個所の2点間直線距離を計測すればアンダーボディー計測完了です。



車体寸法図のデータによる高さ計測だけでなく、ラフに車体の水平ラインを割り出し、左右の高さ差異のみチェックするなどの簡易測定も可能です。

 

左右の高さ差異がミリ単位で明確となりますので、それだけでも事故車の損傷度合いの見える化が実現します。